ドイツローカルクラブでの2シーズンを、体験記として公開しています。ドイツ社会人サッカーの「リアル」をお伝えできれば幸いです。
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5月末、1stチームで第23節を迎えました。
現在、自動降格圏の12位。
入替戦に回れる11位との勝点差は3。
絶対に、勝たなくてはならない試合です。
チームは、攻撃陣に負傷者が続出の状況。
私は、5日前に全体練習に復帰したとはいえ、スタメンは確実、上手くいけば10番を背負える可能性があると思っていました。
しかし、蓋を開けてみると、スタメン落ち。
しかも、ロッカールームを出ると、アウェイにも関わらず、会社の上司、同僚がサプライズで応援に来てくれていました。
コンディションは良好で、応援も来てくれているのにプレーできない、、、。
もどかしい気持ちでした。
本来右サイドバックの副キャプテン、トムジーをFWに置く、初めて試みる布陣で試合がスタートしました。
チームは、予想通りの機能不全。
私は、前半10分でアップを命じられました。
ただ、なかなか交代の機会は訪れませんでした。
DFが本職のトムジーを、FWに置くことで、守備面で良い影響が出始めていたからです。
前半は、0ー0で終了しました。
後半10分、ついに私の出番が来ました。
4ー4ー2の左サイドハーフ。
ハムストリングの痛みはなく、体はキレていました。
ドリブルでサイドを切り裂き、チャンスを2つ作りました。
しかし、ゴールには至らず、時間だけが過ぎていきました。
自動降格圏脱出には、引分けも許されない状況。
次第に、チームに焦りが出て来ました。
遂に試合は、後半ロスタイムへ。
ラストプレー。
相手GKが、バックパスをクリアしようとしました。
恐らくこれで、試合終了。
それでも、FWのダニエルは、諦めずにボールにプレッシャーをかけました。
GKはキックミスをして、力の無いボールが私たちの右サイドを転がります。
タッチラインを割る直前で、ダニエルが、ボールに追いつきました。
ダニエルは、ゴール方向に体の向きを変え、右足インステップでクロス。
左サイドにいた私が、いち早くこのアクションに反応し、ファーサイドでDFの背後を取りました。
次の瞬間、ボールがポストに当たり、ゴールに吸い込まれました。
私のジャンピングヘッドが決まったのです。
人生初の揉みくちゃ。
チームメイトが、私の上に覆いかぶさってきます。
【引用:https://www.jiji.com/jc/d4?p=zkk200-jlp14937237&d=d4_ftb】
この時ばかりは、ただただ、神様に感謝する気持ちしかありませんでした。
再開のキックオフと同時に、試合終了のホイッスルが鳴りました。
土壇場で、1ー0の勝利。
奇跡でした。
チームメイトが、次々に祝福に訪れます。
「ついに、チームのためにゴールをあげられた」
監督のサーシャにそう伝えると、
「本当によくやった。みんなを救ったのはナックだ。素晴らしい仕事だった。」と言ってくれました。
会社の上司、同僚にもお礼を伝えると、本当に喜んでくれました。
ロッカールームは、お祭り騒ぎ。
2年前、初めて勝利のロッカールームを経験した時、
「自分の活躍でチームを勝たせることが出来たら、どんなに幸せだろう」
と考えていたことを、思い出しました。
予想していたよりも、もっと素晴らしい気持ちでした。
チームは、得失点差で11位に浮上。
予断を許されない状況に変わりはありませんが、自動降格圏を脱出しました。
試合終了後、急遽、ホームグランドのクラブハウスに戻ってみんなでディナーを食べることになりました。
レストランでも、祝福の嵐。
ウェイターさんは、顔を合わせるや否や
「ナック!よくやった!君はスーパースターだ!」
と興奮した様子。
ビールを飲んでいるおじさん達も、
「観戦には行けなかったけど、結果は聞いた。よくやった!」
と喜んでくれていました。
ゴールの瞬間は、サッカー人生最高の瞬間でした。
日本でプレーした学生時代と比べれば、サッカーのレベルそのものは低いかもしれません。
ただ、そんな事は吹っ飛んでしまうほど、本当に素敵な体験でした。
いつだって、プレッシャーがかかる状況で結果が出せる。
こんなに苦しくて、恥ずかしい状況でも決して折れない心。
8部リーグとはいえ、自分を日本の侍として誇らしく思いました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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